「ある種の“仕方なさ”が必要なんだと思う。
仕方がないから、どうしようもないから、って気持ちが
背中を押して、何とか前へ進んできている。
そんなことの延長線上に“今”がある。


「楽園王からの手紙」
2017.7.7

初めての方にははじめまして。お久しぶりの方にはどうもお久しぶりです。お元気でしたか? いつもいつもの方にはいつも本当にありがとうございます。楽園王の長堀です。今回もまた、次の公演のご案内です。・・・楽園王は劇団がスタートして以来ずっと、こんな文面のお手紙をいつもお客様にお送りしていました。「そうそう」って思う方もいるかも知れませんね。けれど、いつの頃からか、公演のご案内や情報の告知をインターネットで行うようになり、そんなお手紙も書かなくなってきましたね。本当ならまた、郵便にてお知らせを出して行きたいとも思っているのですが、住所を教える/知る、ということの価値観も時代とともに大きく変わり、少し難しい面もあるみたいです。自転車を買うと、達筆な自転車屋さんが泥よけの所に住所を書いてくれた頃が懐かしいです。さて、ネットではありますが、自己紹介をしたいと思います。本当の公演の情報は、この部分の下にあると思いますので、この続きはぜひ読み飛ばしてください。楽園王は・・・

楽園王は・・・

これを書いている2017年現在、スタートして26年目になる東京の劇団です。近年、代表である僕の住所が埼玉県になり、劇団の郵便物がそちらに届くようになり、川越の小江戸には僕が運営に係わっている「ギャラリーR+」っていうのもあって、埼玉県の劇団って言われるようになりましたが、基本的には稽古地である東京拠点の劇団、って認識です。アドレスも“ホーム@ラクエンオウ.トウキョウ”ですし。26年間の1991年、他の劇団に書下ろしをしていた劇作家の長堀博士が自分の戯曲を自らの手で上演する場としてスタートしました。そしてその後10年を経て、「利賀演出家コンクール」への出場やSPACからの招聘で古典の公演を行ったことが切っ掛けで、古典戯曲を上演することが多くなり、今では長堀は演出家を名乗ることが多くなりました。実際に古典戯曲や文学作品を上演する機会は多く、これまで上演してきたのは、自分が書いた物語が半分、古典戯曲や文学作品が半分です。だいたい100近い上演作品があります。レパートリーとして、あるいは代表作として、何度も上演してきている作品もたくさんあります。それと平行して、長く続いた劇団の責務として、作品の発表だけでなく、ワークショップなどを通じて俳優育成の意味を込めたいろいろも行っています。いろいろ、舞台制作の方法や工夫などお伝えできたらと… 良い俳優、素敵な人材も輩出していきたいですし。これに関連して少し話しますと、楽園王にとっては演劇はエンターテイメントの前に芸術ですので、音楽や絵画のように、継承したり/されたり、も大事に考えているのです。音楽や絵画やバレエなどの舞踊は、どこでどんな先生に教わっても、基礎の点では同じであったり類似しています。だから専門の大学や学校を作ることができる。途中から勉強の先を海外に、なんて選択肢も存在する。ほぼ世界共通の同じ基礎があってそれが流通しているからです。スポーツもそれとほとんど同じですね。でも演劇は、スタートさせた場所でぜんぜん違うことを教えているのが現状。小劇場の多くで、演出家ですら基礎的な知識すら持っていない場合もあります。人間関係をアレコレするのが演出だと思って、その仕事で終わってる。でもそれは、誰か個人の責任ではなく、演劇の現場の問題と言えます。で、楽園王、もちろん楽園王もそんな中に含まれます。残念ながら特に例外ではありません。かなり長い間、ギリシア悲劇もシェイクスピアもチェーホフも能も狂言も歌舞伎も知らなかった。多くの、誰にも師事することなく勝手に劇団を始めた、そんな中の一つ。ただ、同時代の多くが失速して消えていった中で、なんだか長く続いて行っている。違う点といえば、それくらいでしょうか? でもそんな長さとは…、失敗と反省と勉強を繰り返し、時に成功し、時にトラブルを乗り越え、また自らの経験だけではなく、優れた先駆者たちから勉強したり、勝手に盗んだりの様々な知識を得て、それらを駆使してずっと作品の発表をしている。えーと、話が長くなって、この話題の切っ掛けを忘れそうですが、つまりですね、きっと誰かに、受け渡す何かがあるのではないかしら? この楽園王には、と、そう考えているのが今現在なのです。それで公演以外の活動も大切に思っている。ワークショップに関しては、青学WSDに通い、ワークショップデザイナーの資格も取得していて、専門的な知識も身につけました。さて、あともう少しだけ、劇団の話。
劇団は、せかっくだからと百年続くことを目標の一つにしています。ですので、今はまだ道半ばです。まだ前半戦。今後必要になる継承者もまだいませんし。不器用で時間がかかりすぎていることもあります。ですが、まだまだ成長も変化もしていく覚悟です。きっと良い覚悟。もう一度書きます。まだまだ成長も変化もしていく覚悟です。真面目に。真摯に。反省すべき反省はちゃんとして。そんな楽園王、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。新しい公演、新しい公演が一番いい公演です。
あと少しだけ、文章を続けさせて下さい。昔、公演のために池袋にある大きな劇場にいた時に、隣の劇場から人が飛び込んできました。その人は遠い地方の劇団の人で、自分の出演する作品が評価されて演劇祭に呼ばれてやってきたのです。「まだ楽園王やってたんですか?」 それが彼女からの最初の言葉です。学生の時に東京に住んでいて、楽園王が好きで何度か観に来てくれていた、と教えてくれました。僕に花束を持ってきたことがあると聞きましたが、正直覚えていませんでした。まさか、あの小劇団が今もあるなんて思っていなかったそうです。「まだ楽園王やってたんですか?」 …その経験は、劇団を長く続けていく励みになる出来事でした。「まだやってたんです。今もやっています。」今まで楽園王を観た事がある人が、十年とか、長い時間経って、もうきっと忘れていて、でももしまたどこかで偶然に見つけることができたら、それはとても演劇的な出来事のように思います。それはちょっと面白いし狙ってみてもいい。また今、観た事が、と書きましたが、実は出たことがある人のこともよく考えます。だって、出たことがある人の人数すら、のべで500人は超えるでしょうから、ねえ、自分が出たことがある劇団が、なんだかまだまだ「今もそこにある」のは良いことのように思います。そして、それに関係して、別のことも考えます。昔、僕の芝居に何か期待みたいなのを持っていて、観ていて、係わっていて、そしてたぶんある時期にはその期待が蜃気楼のように消えてしまって、もはや来なくなった、そんな人。それは、正直な話、僕をいちばん傷つける出来事。いや、出来事っていうか、具体的には何のストーリーもないのですが、想像上の、空想上の、でも、たぶん、事実である、そういう事。そんなこともまた、僕の背中を押しているって書いておこうと思います。ある種の“仕方なさ”が必要なんだと思います。仕方がないから、どうしようもないから、って気持ちが背中を押して、何とか前へ進んできている。そんなことの延長線上に“今”がある、のだと思います。




-公演情報-



Beckett“PLAY”

ベケット「芝居」
板橋ビューネ2017参加
2017.11.15-19

芝居2017仮チラシ2.jpg

@サブテレニアン
演出◎長堀博士
出演◎杉村誠子 吉田奈央 大迫健司



*各回公演終了後には、ゲストをお招きしてのアフターイベントを行います。
20分~30分の短編の上演やアフタートーク、あるいはライブなど、フェスを盛り上げる企画が満載です。

>>詳細決定!! 詳しくは下記の「芝居」ページにて。

ベケット「芝居」情報ページはこちら!!



“An Extra Inning Game of The Girl”
長堀博士新作「延長戦ガール」
2017.11.4 &15


楽園王チーム写真2017.jpg

教文演劇フェスティバル2017短編演劇祭「10」参加
8/12 (土)@札幌市教育文化会館(北海道)→終了

雲劇祭2017参加
11/4(土)@出雲国際交流会館(島根県)

雲劇祭2017の情報はこちら!




11/15(木)@サブテレニアン 板橋ビューネ参加ベケット「芝居」と二本立てにて1回だけ東京公演。

東京公演の詳細はこちら!!





作/演出◎ 長堀博士
出演◎ 岩沢繭 村田望 久堂秀明 田中達也


HM“Hamletmaschine”
ハイナーミュラー「ハムレットマシーン」
現代劇作家シリーズ9:ハイナーミュラー「ハムレット・マシーン」フェスティバル参加
2018.4.10-11@日暮里d-倉庫


“new title”
長堀博士新作
2018.9.6-9・下北沢OFF・OFFシアター


“new title”or
長堀博士新作もしくは再演
2019.3.19-21・日暮里d-倉庫


楽園王、見回してみると、今のこの社会にとって大切なのが東京オリンピック開催の翌年、2021年だと考えています。経済は確実に下降線を辿り、さまざまな問題が浮き彫りになってくる。楽園王にとっては劇団30周年の年でもあります。長く続いているカンパニーとして、長期的な視野でものごとを見られるのも利点。そこで楽園王では、2021年までの活動のグランド・プランをほぼ決定し、来るべき日に向けて準備を始めています。明日終わってしまうカンパニーではなく、継続していくものとして、今までの仲間に新しく助力してくれる才能を加え、力のある作品を発表してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。また、随時出演していただける仲間、意欲あふれるスタッフを求めています。重ねてよろしくお願いいたします。#楽園王 home@rakuenoh.tokyo
(楽園王・長堀博士)




-これまでの公演-



別役実「正午の伝説」
2017.4.28-29@日暮里d-倉庫


チェーホフ「ワーニャ伯父さんmini」
2017.6.23-25@新宿サニーサイドシアター


「限りなく死に近い睡り、数話」
2017.7.20-23

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東京バビロン演劇祭2017参加
7/20 (木)-7/23 (日)
@シアターバビロンの流れのほとりにて
作/構成/演出◎ 長堀博士
出演◎ 大畑麻衣子 植村せい 小林奈保子 
関大輔(EgofiLter) 瀬戸ゆりか


宮沢賢治「よだかの星」
野方最終企画ひとり芝居フェス参加
2017.9.15-17

よだかの星仮チラシ.jpg

@野方スタジオ
演出◎長堀博士 出演◎村田望